ブダペストひとり1週間滞在を終えて決めたこと。ハンガリー旅行振り返り②

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カジヤマシオリと旅

お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です。

海外一人旅をすると、人生が変わる」と思います。

一瞬ナンノコトヤネンという感じですが、私はヨーロッパを一人でふらふらしているときに「こうなりたい」というものが決まることがあります。

大げさなようで、実は本当に、海外一人旅って人生を変えます。
今のわたしがあるのも、ヨーロッパをひとりで旅してきた経験があるから。

わたしの大好きなあの人も、きっと、アメリカや台湾、ロンドンをひとりで旅して、何か未来への「ヒント」を得たんじゃないかって考えたこともあり。

私は海外一人旅を通して、何が起こっているんだろう?とふと考えました。
せっかくだから、ハンガリー旅行の振り返りも兼ねて考えてみます。

2017年11月、ブダペストで1週間の滞在を終えたことを公開していないから。

成功か失敗かは置いといて、とにかく、人生が変わるということをお伝えしたい。

留学でも、ワーホリでも、世界一周でも、特定の地域をふらふらするだけでも、ひとりでの海外体験は、人を変える。

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もう、会社勤めはしない。

ハンガリー旅行を決意したのは、会社をクビになったから。

表向きは契約期間満了だけど、本当は仕事を任せてもらえなくなり、クビになった。

健常者にとっては働きやすい職場だったかもしれないけれど、
「当たり前のことができない」障害者の私にとってはとても働きづらい職場だった。

しかも障害があることを、隠し通さなければならなかった。
それは息が詰まるような生活だった。

発達障害の診断を受けて1年後、障害者手帳を手にして2か月後のことだった。

発達障害者の私は、会社勤めに必要とされるものが、9割方抜け落ちている。クビになるのもうなずける話だ。

すぐに再就職は難しい。地元にも戻れない。
障害のある私は、ここに必要とされていない

クビになることで私の手元に降ってきた、無期限の時間の自由」。

会社勤めでは、頻繁にヨーロッパを旅するのは困難だった。
就職してもなお、その事実をなかなか受け入れられずにいた。

時間があるならヨーロッパへ行くしかない、と思うのは自然の流れだった。

幸い、副業でやってきたライターの収入もある程度貯まっていた。

なるべく航空券を安く手配して、オランダよりは物価の安いところを選べば、1週間くらいは観光して過ごせるなという金額。

その基準で選んだのが、ハンガリー・ブダペストだった。

仕事をクビになった私は、
本当に自由であること、障がい者に向けられる偏見から逃れることも、この旅に求めていた

滞在中はとても自由だった。

発達障害者であることを思い悩んだり、悲観に暮れたりすることはなかった。

現状にとやかく口出しする人もいなかった。

とことん自由を謳歌できた。

だから、帰国が近づくのが不安だった

日本に戻れば、また自由はなくなる。

障がいを隠して社員として働くことにこだわれば、今よりも病的なやせ方をするだろう。

体調も確実に悪くなる。

 

たわいのない雑談すらもうまくできなくて「変人」というレッテル貼られるのだろうか。

私が発達障害者だと考えもせず、平気な顔で傷つけてくる人たちとの関係に辟易し続ける日々なのだろうか。

「障がいを隠すこと」を親が望んでいても、それがベストな方法ではないことは、診断後の生活でわかっていた。

あらかじめ障がいを周りに知らせる障害者雇用ならまだしも、今までのような会社勤めはリスクだらけだとわかっていた。

 

ハンガリー滞在を通して、私はもっとヨーロッパを見たいと思った。

「ヨーロッパ好き」と公言するには、まだ訪れていない国が多すぎる。

もっと旅がしたい。日本には、旅したいと思える場所が見当たらない。

好きなアーティストの公演と併せてちょこっと見てまわる分にはいいけれど、がっつり旅したいとは思えなくなっていた。

そう、日本じゃ、ない。

だから、会社勤めをしないことにした

私の障がいは、多くの人と複雑にかかわるほどに「困った」を連発するものだ。

日本の会社特有の人間関係では、適切に振る舞うことができない。

「ヨーロッパへ行ってきます」と報告することが、【空気が読めない】【自己中心的】【危険を顧みない】【ムカつく】【調子乗ってる】と評されるのであれば、そんな環境にいない方がお互いのためだ。

クオリティの高い仕事ができれば、どこにいてもいい。
それこそが私の望む環境だと実感した。

ヨーロッパを旅することも、きっと仕事のクオリティによい影響を与えることだろう。

 

副業だったはずのライター業が本業になりつつあることも大きかった。
場所を選ばないライター業は、フリーランスで働いている人も多い。

帰国後、これらの条件が重なった事から、会社勤めをしないことにした。

とはいえ、うまくいくかなんてわからない。未来は誰にも分らない。

もしかしたら、発達障害者に関する法律や支援体制が整い、会社勤めをするメリットができればまた、会社勤めに戻るかもしれない。

ライターとしての仕事が少ないままで、貯金が尽きれば、以前のような会社勤めを強いられることだろう。

私は会社勤めをしないことにしたけれど、
障がいを持つすべての人が、どんな働き方を選んでも幸せになれるような世界であるべきだと強く思っている。

発達障害をカミングアウトすることを本気で考え始めた

今までは、健常者の皮をかぶった発達障害者として文章を書いていた。

旅の前に自分のウェブサイトを立ち上げ、今までの旅やハンガリーで見たものを文章にしていく過程には、違和感しかなかった。

本人に違和感があったのだから、カジヤマシオリを見ていた人にとっては、とてつもない違和感があっただろう。

 

発達障害を隠しながら働くという「嘘」を1年続けた末、10キロ近く体重が落ちた。

こんなやせ方をしたのは初めてだった。発達障害が知られたら、すぐにクビになることは目に見えていた。ひたすら隠し続けた。

薬の副作用と罪意識に苛まれる日々だった。みるみるうちにやつれた。
健康診断の結果表に「やせ」と書かれ、会社の産業医から警告の手紙が届いた。

これ以上やせ続けると健康に影響することは歴然だった。

私が自由を求めた先でも、今まで通り健常者のフリをし続けるのだろうか。

ハンガリーでは発達障害であることを忘れるくらいに自由な旅をしていたから、
私は改めて「嘘をつきながら旅をすることについて」じっくり考えた。

 

嘘をつきながら働くことはとても苦しい。二度と経験したくない。
次のステージでも続けるのか?

帰りの飛行機、ずっとテトリスをしているように見えて、頭はそのことでいっぱいだった。

発達障害者をカミングアウトする」ことを真剣に考え始めたのは帰国した頃。

この時点では正直「考え始めた」レベルだった。

そのあと、大好きなアーティストのライブを通して、具体的な日時やその目的をはっきりさせた。

そして2018年、カミングアウトに踏み切った。

当事者や関係者でなければ、発達障害についてなかなか知る機会もないだろう。

ふつうに暮らしていれば、発達障害者の存在なんて考えもしないだろう。

日本の日常生活がそうだから、発達障害者の存在に触れた瞬間、差別的発言を浴びせ、偏見にさらすのだ。

他人の心の奥底に眠る強い差別意識を恐れ、当事者のほとんどが障がいを隠している。
そして人々はまた見て見ぬフリを続ける…

障害を隠さなければならないことがネックとなり、すべてをあきらめている人もいるだろう。

私と同じ発達障害があって「本当は行きたい国があるけれど海外旅行なんて無理だ、ましてやひとり旅なんて…」とためらっている人はたくさんいるはずだ。

あなたが思っている以上に、発達障害者は日本にいっぱいいる。

私は、ひとりでヨーロッパを旅している。

まだ訪れた国こそ少ないけれど、今後増えていくことだろう。

 

いつも順風満帆とは限らない。

民泊で滞在する部屋のカギは決まって開け方が難しく、何度も閉め出された。

オランダではスマートフォンを紛失した。毎日のように迷子になっている。

先日も、ハンガリーから帰国する際の飛行機に、お気に入りのイヤホンを忘れきたばかりだ。

 

旅先では決まって「困った」に遭遇するが、それでも旅ができている。

あまり治安の悪いエリアを選ばないからか、犯罪に合ったことはない。

意外にも、海外ひとり旅の難関「乗り継ぎ」もなんとかなっている。

ある程度ひとり旅を積み重ねれば「困った」を起こさないための対処法もわかってくる(それでも100パーセントではない)。

その対処法もいつか解説したい。

 

私がひとり旅をできているということを広く知ってほしい。

それが発達障害について知るきっかけになれば本望だし、障がいの有無が旅の「障害」になってほしくないからだ

障がいの有無で可能性が決められるのは不本意だし、悔しい。

発達障害で海外一人旅をあきらめている人を、誘いたい。
こんなことをつらつらと書く私だから、理解してくれる人なんてそうそういない。

交友関係が狭いからか、発達障害をカミングアウトしながらも旅好きを全面に押し出している人に出会ったことがない。

発達障害があっても安心して旅ができる環境が整えば、旅行業界は間違いなく潤う。
経済も活発になる。

そして、発達障害に対するネガティブまみれなイメージも払しょくできるのではないだろうか。

私自身、発達障害がヨーロッパ旅のデメリットになるとは思っていない。
障害ゆえの人並外れた好奇心と衝動性があるから、アグレッシブにヨーロッパを旅できている。

私が発達障害をカミングアウトしたうえでヨーロッパを旅すれば、さらに世界を広げることができると確信できたから、踏み切ったのだ。

旅に障がいの有無は関係ない、と言い切れる世の中になれば…
障害者を取り巻く世界も、変わる。

安易に海外一人旅をすすめない

海外一人旅をすることで、私は変わりました。

今までのトラウマから「大勢でワイワイ」「雑談」が苦手なので、私のひとり旅はなるべくこれが発生しないようにしています。

だからひとり旅にこだわるのです。
(もちろん現地の人との会話を楽しみますし、関わることを面倒だとは思っていません)

だけど、私のような旅が合わない人もいると思う。

ひとりで観光すること、日本語の通じない環境に耐えられないという人には楽しめないかもしれない。

なので、むやみやたらに「人生変わるよ!海外行ってみなよ!」とはおすすめしません。
挑戦してみる価値はあると思うけれど、すべての人に人生を変えるきっかけがあるとは思いません。

いうならば、私のように、

  • 大勢の人と関わることに辟易している人
  • 雑談が苦手な人
  • 自分一人で楽しみたい趣味がある人(美術館や古城めぐり、写真、読書、料理など)
  • 一人になりたい人

には、楽しめるんじゃないかなと思うのです。漠然と。
人生を変える発見や、価値観との出会いを楽しむことができるのでは?と。

 

私の旅の主役は、あくまでも私。

海外一人旅は人生を変えるというけれど、
どう変わるか、何が変わるか、そもそも変わるかどうかには個人差があると思います。

もちろん強制はしないし、言い切ったりもしない。

私のようにヨーロッパである必要もない。

自分の場合はどうなんだろうか?と思ったら、海外一人旅に挑戦してほしい。

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