お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です。
ガイドブックにはあまり載らない、ブダペストの素敵なスポットをまたまた紹介します。
「マジャル・フォトグラーフショク・ハーザ(Magyar Fotografusok Haza)」は、センスのよさが光る小さな美術館です。
アールヌーボーな美しい雰囲気の建物内では、現代写真の展覧会が開かれています。
趣向を凝らした展示方法とともに、写真の奥深い魅力を満喫しました。
ブダペストの繁華街に面した、「マイ・マノー・ハーズ(Mai Manó Ház)」という建物の3・4階にある美術館です。
展示内容は定期的に変わります。私が訪れたときは、ヴィヴィアン・マイヤー(Vivian Maier)
という女性写真家の展覧会がおこなわれていました。
目次
アマチュア女性写真家の先駆け。ヴィヴィアン・マイヤーとは
ヴィヴィアン・マイヤーとは、1926年にアメリカで生まれたアマチュア女性写真家。
写真家として脚光を浴びることなく一生を終えますが、死の直前に倉庫に眠っていたフィルムがオークションにかけられたことがきっかけで、彼女の才能は評価されました。
2015年に公開された「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」という映画が有名です。
フィルムの発見から彼女の人生を調べ、写真集を出版するまでのストーリー。
映画を見てから行けばよかった!と心の中で肩を落としました(結局今も見れてない)。
彼女はアマチュアでしたが、展示からはプロとそん色ない技術と斬新さを持ち合わせていたことがわかります。
構図にこだわり、新しい撮影方法を試しています。
どうやって撮ったんだろ…と引き込まれるような作品ばかり。
だけど、奇をてらった感じはなく、ただ美しい。
ほとんどの人がカメラを持っている現代でこそ「自撮り」をすることはごく普通ですが…
ヴィヴィアン・マイヤーが活動していた時代はそうではありません。
にもかかわらず「自撮り」をしているような作品がいくつも展示されていました。
車のサイドミラーに自分を映し、カメラを構える。
美容院の全身鏡に自分を映し、またカメラを構える。
このようにして、セルフポートレートを撮っていたのです。
しかも、顔がカメラで隠れてる。当時、このような形のポートレートは珍しかったことでしょう。
彼女が変わり物だったというのもうなずける話なのです。
被写体のありのままを映し出すことにも長けた写真家だったのかな、とも思いました。
セルフポートレート以外は、経済成長を遂げつつあるアメリカの街角を映したものがメインです。
建物、お店、子どもたち…
いきなりカメラを向けて、自然な表情が引き出せる理由を知りたくなりました。
でも生前は無名だったので、彼女の撮影スタイルに関する明確な資料が少ないんですよね…
ありのままを映すということは、被写体を客観視できているということでもあると思います。
時に、辛辣さのある写真もありました。
ファインダーを通して、冷静に当時のアメリカ社会を見ることができる人物でもあったのだとわかります。
セルフポートレートも、顔が隠れているものが多かったですが、ちゃんと顔が映っているものはどこか不機嫌そう。
自身が飾り立てたり偽ったりすることが苦手だから、人のありのままを映し出すことができたのでしょうか。
その理由はどうであれ、アマチュアだったとは思えないほどの技術力と表現力を感じたことには、間違いありません。
ヴィヴィアン・マイヤーのようにセルフポートレートを撮る
ヴィヴィアン・マイヤーがちょっと変わったセルフポートレートを残していたことから、
彼女になりきってセルフポートレートを撮ることができるスポットもありました。
展示室のあちこちに、アンティーク風のかわいい鏡がかかっています。
鏡の前でシャッターを切れば、たちまちあなたもヴィヴィアン・マイヤー!?
…なんてことはないですが(笑)
鏡の中に映り込むのは、ミラーレス一眼を構える私の姿と、ヴィヴィアン・マイヤーの作品たち。
私自身がちっこいので鏡の隅にちんまり映ってるだけになってますが…(笑)
彼女がこだわった写真の世界を、追体験できておもしろかったです。
さらにもう一枚、スマホで。私は目をそらしてしまいましたが(笑)
大きめの鏡で展示室全体を取り込んでみる。
やっぱり構図を考えて撮るの楽しいな…技術はまだまだですが。
ビデオの説明もありました。
規模が規模なので展示作品数は少な目ですが、一枚一枚に見入ってしまう。
ヴィヴィアン・マイヤーからのメッセージを全力で感じ取ることができて、満足度が高めです(^^)/
宮廷写真家の邸宅で過ごす時間。
マジャル・フォトグラーフショク・ハーザが写真の展示を行うのは、昔ここに宮廷写真家が住んでいたから。
1894年、オーストリア=ハンガリー帝国時代の宮廷写真家だったマイ・マノーのスタジオ&住居として建てられました。
そのことから、1階のカフェや2階のブックストアを含め、建物全体は「マイ・マノー・ハーズ」と呼ばれています。
さすがに内部はリフォームしていますが、邸宅は素敵な雰囲気を残しています。
凝った模様の階段。家にこんな階段あったら心が躍りっぱなしです(笑)
1階のカフェ・2階のちいさなブックストアまでは、入館料なしでも見学可能です。
1階エントランスには、マイ・マノーとその家族とみられる写真の展示がありました。
当時の生活に思いをはせて。
美術館の3階~4階をつなぐらせん階段にもぐっときました。こんな階段から華麗に登場してみたいものです。
もちろん、照明はシャンデリア。
さすが宮廷写真家…
4階には、今でも撮影のスタジオに使えそうな広間がありました。
美術館があるのはブダペストの繁華街。
今でも古い街並みが残り、ロケーションも最高!
この広間から、日の暮れかけた街をぼーっと見つめて。
目の前の建物はシアターです。
マイ・マノーが愛用していた撮影機材の展示がこっそりありました。
ガシャコン系のフォルムがカメラ好きにはたまりませんね。
でもどうやってコレで覗き込んだものが写真になるのか全くイメージつかないです。
広間自体の照明がついていなくて、普通にスルーしそうになったんだけど…(笑)
建物自体は大きくないけれど、宮廷写真家が住んでいただけあってか、装飾がすばらしい。
ここで写真に夢中になる時間は、とてもかけがえのないものでした。
「マジャル・フォトグラーフショク・ハーザ」基本情報
住所:Budapest, Nagymező u. 20, 1065(3階、4階)
開館時間:14:00(土日は11:00)~19:00
入館料:大人1500フォリント(約750円)
アクセス:地下鉄1号線Opera駅からアンドラーシ通りを歩いて3分。
繁華街にあるのに、街の喧騒を感じさせない。
私にとっては少しだけ、特別な場所です。
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