お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です。
私がモルドバを訪れて思ったのは「万人受けする旅先ではない」ということ。
その代わり、ハマる人には本当にハマると感じました!私もすっかりモルドバという国の虜に。
4日間がっつり滞在して感じた、
モルドバを旅したほうがいい、ハマるのはこんな人!というタイプを紹介します。
モルドバに行こうか迷っている人は必読です!
…モルドバは玄人向けの国かもしれない。
目次
ワインが好きな人
ワインが好きなら、モルドバで過ごすのはたまらないと思いますよ。
だって、モルドバはどの家にも自家製ワインがあるような国ですから。
小さなワインセラーを持っている家もめずらしくありません。モルドバ人は本当にワインが大好きです。
モルドバは、5000年以上前からぶどうが自生している国です。豊かな水源、土壌にも恵まれています。
歴史ある土着品種のぶどうも多い。
そして、ヨーロッパ有数のワイン名産国です。
化学的なものを極力使わず、伝統的な手法でつくられたワインは、一口ずつ噛みしめたくなるようなしっかりとした味わい。
華やかな香りをかぐだけで幸せな気持ちになります…!
「クリコバ」社がつくるワインは、モルドバでも最も信頼があつく、世界でも人気があります。
そんなモルドバ産のワインは、モルドバ国内で買えば1本(750ml)で300円くらい!
他の会社のワインでも、だいたい300円で買えます。もちろんもっと安いものもある。
セール価格ではなく、一般的なスーパーでの値段です。
自家製ワインのある家では、昼間から浴びるように飲むことも。
ランチのたびに、ディナーのたびにワインをぐびぐび。
エアビー(Airbnb、民泊サイト)で自家製ワインのある個人宅を見つければ、モルドバならではの自家製ワイン三昧な日々を送ることができるかも?
とにかく無類のワイン好き!うまいワインを浴びるように飲みたい!という人には、夢のような滞在ができると思いますよ。
モルドバのワインを日本の通販で買おうとすると、この通り。1本3000円くらいとられちゃうんですよ。
1本300円と聞くと、正直日本の通販で買うのがばからしくなるよ。
とくに観光スポットに興味なくても、ワインが好きなら訪れて後悔はありません。
ワイナリー巡りもできますよ!ワイン三昧したい人におすすめです。
大自然の中で、日ごろの疲れを癒したい人
首都キシナウは、小さい街ながら都会らしい街並み。
一方で、1時間も車を走らせれば、大自然が出迎えてくれます。
国立公園にもなっている、旧オルヘイ村。
切り立つ崖、雄大な自然…
手を広げて、思いっきり深呼吸したくなる場所です。
空気がおいしいとはまさにこのこと!
旧オルヘイ村の崖の洞窟には小さな修道院が。
隠れ家的修道院です、文字通り。
小さな祭壇と、魔法使いみたいなおじいちゃんのいる修道院。
神秘的な体験でした。
郊外の村では、大自然の中で自給自足の生活を送る家庭も残っています。
お世話になっていたビオレッタさんの旦那さまのご実家がまさにそう。牛や馬、鶏や豚を飼っていました。
その日とれた新鮮食材を食べるなんて、初めての体験…!
その体験をしっかりレポートした記事があります。モルドバの大自然、あなどるなかれ!
日本でのガヤガヤとした生活や、都会から離れたい人にはうってつけだと思います。
正直便利とはあまり言えないけれど、その分かけがえのない体験ができます。
Wi-Fi環境のある家ばかりじゃないから、思い切ってデジタルストックスもいいかも?
ヨーロッパのきらめきに食傷気味の人
モルドバには、古くて美しい街並みがありません。
首都キシナウはどこか旧ソ連の雰囲気。新しくない高層建築のほとんどが、旧ソ連時代=1990年代以前に建てられたもの。
西ヨーロッパの古い建物みたいな装飾は見られません。
そもそも、あまり高い建物がありません。
たまーに荒廃したような地区や、昨日爆撃があったみたいなボロッボロの建物も。首都でコレだからなあ…
郊外に出れば、一面が草原と畑。
モルドバには、ヨーロッパらしさはないかもしれません。
フランスやパリなどの王道のヨーロッパにわくわくが止まらないなら、あまりモルドバ旅はおすすめできない。
中央~西のヨーロッパでの旅に慣れていて「ヨーロッパに飽きてきたな…」と感じはじめたころがモルドバを訪れるタイミングかも。
実際「世界一周の途中で立寄ると、いろんな意味でヨーロッパっぽくなくて癒された」という声も聞きます。
私も、ハンガリーより西の国を10か国ほど訪れた後のモルドバ旅でした。
西ヨーロッパの旅に疲れていたわけではないのですが、それでもモルドバでの時間はのんびりしていて、心地よかったです。
きらびやかさはないものの、素朴な街並みと人々が私の心をぐっとつかみました。
物価の安い国を旅したい人
「ヨーロッパは物価が高い」
それは間違いじゃないと思います。今までヨーロッパを10か国以上旅してきて、私も感じたことです。
だけど、ヨーロッパのすべての国に言えることではありません。
ハンガリーから東の国での物価は、日本と同じくらいかそれ以下のところが多い。
モルドバも物価が安いと感じた国のひとつ。
ちょっとおしゃれなレストランでも、500円あればしっかり食べられる。
観光スポットの入場料は安いし、タクシー代も安い。40分くらいタクシーで走っても800円くらい。
お金のかかる観光スポットが思い当たらないです。
宿泊費も安くおさまると思います。
ちなみに、私が泊まったゲストハウス「イオニカ」の一人用の部屋は、バス・トイレ共用で1泊45レイ(約2250円)。
清潔で静か、朝食付き。英語の通じるスタッフもいて、お値段以上の満足感でした。
物価が安いから、とくに目的がなくてもだらだら長期滞在…というのも悪くないと思う。
仕事をしながら長期滞在したい人、マイペースさんにも居心地がよいはずです。
世界史(とくに旧ソ連、ロシア)に興味がある人
歴史の勉強が好きな人、世界の歴史をもっと知りたい人にもモルドバ旅行はおもしろい。
モルドバは、これまで複数の国に運命を揺さぶられてきました。
モルドバの歴史(ざっくり)
モルドバにはもともとルーマニア系の人が多く暮らしていますが、16世紀にはオスマン帝国(トルコ系)の支配下に。
1918年に一度「モルダヴィア民主共和国」として独立宣言するものの、ルーマニアの侵攻を受けたことや国民たちの意思により、ルーマニア王国の一部に。
第二次世界大戦では旧ソ連の構成国家となり、スターリン政権のもと身動きがとれなくなりました。
もちろんルーマニア語(モルドバ語)ではなくロシア語の使用を求められ、47年間、政治的にも経済的にも依存し続ける時代が続きます。
1991年、旧ソ連への反発が高まる中、モルドバは独立を宣言しました。
ルーマニア系の人が多い国なので、ルーマニアの一部として再出発する意見も多かったようですが、独立の道を選んだのです。
今も国旗はルーマニアとそっくりだし、祖先や言語もほとんど変わらない。
独立した当初は、ルーマニア国歌「目覚めよ、ルーマニア人!」を歌っていた時期があるほどです。
今も変わらず、周りの国からの影響を受け続けている面があります。
この時代背景がわかったうえでモルドバの街を見てみると、とても面白いのです。
つい25年前くらいまではロシア語が公用語だったので、ロシア語を見かけることが多い。
私よりも年上の人は、ルーマニア語とともにロシア語を話せる人が多いです。
旧ソ連時代のものとみられる建物も残っていて、なんだかノスタルジー。
そして、モルドバは農業大国。小麦やぶどうの生産、酪農がさかんです。
一方で工業的に栄えている地域は、親ロシア派のため「沿ドニエストル共和国」として独自の国家を形成。
工業製品はウクライナなどに頼るほかありません。
モルドバで売られているコカ・コーラはほとんどウクライナからの輸入品。
工場生産のお菓子も輸入品が多いですね。
ルーマニアはルーツが同じだからか、よい感情を持っている人が多いです。
自分たちの言語であるルーマニア語を「美しい」と称え、誇りを持っています。
滞在中、モルドバで暮らす知人夫婦に、モルドバ国歌「我らが言葉」を歌ってもらいました。
人々の芯の強さを感じさせるような歌詞、自然のきらめきのような旋律…
この国歌についてどう思っているか?もインタビューしました。モルドバの歴史や言語に興味のある人は必読です。
モルドバは、私たち日本人の想像を越える歴史をたどった国です。
人々と接し、歴史を知ることで、新しい国として未来を創っていく覚悟のようなものも感じました。
旧ソ連の国々や旧共産圏を旅してきて、歴史に興味を持ったなら、モルドバでの旅を楽しめるのではないでしょうか?
モルドバを知れば、旅がもっとおもしろくなるよ。
私がモルドバを旅して思ったのは、ある程度ヨーロッパを旅したことがないと、本当の魅力が分からないのではないか、と。
だって大衆受けする要素がないんだもの…
「ワインが安いの?なら行こうかな~」というノリでは、おそらくワイン以外何も印象に残らないと思う。
ご本人がそれでいいのならとやかく言いませんが、モルドバの隅から隅まで見てまわった私としてはもったいないと感じる。
なので「モルドバを楽しめそうな人は?」というくくりでモルドバで体験したことをまとめてみたのです。
私のモルドバ旅は、傍から見ればつまらないように見えるかもしれない。
それでも、私はモルドバで過ごした日々を忘れることができない。
今までのヨーロッパ旅では感じることのできなかった経験が、思い出すたびにきらめきを増してゆく。
こんな気分になったのは初めてです。
この気分を、たくさんの旅人に味わってほしい。
どうか、モルドバでの美しい体験がみなさんに伝わりますように。
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