こんにちは。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です。
ハンガリー・ブダペストでは、毎日が美しい建築との出会いに溢れてました。
基本的に「気に入った…」ってなった建築は、なるべく入場観光して楽しむようにしてます。
外側が美しい建築は、中身もぬかりないものが多い。私もそんな人間でありたい(遠い目)
うっとりするような空間で、私はよく天井をほけーっと見ながら過ごしてます。
ブダペストで出会った建築の中で、とりわけ天井が美しかった場所を紹介します。
壮麗で「うわーっ」ってなる系のものはもちろん、小さいけどかわいいもの、アーティスティックなものも。
もっと掘り下げて語った記事もあわせて紹介しておきますので、興味のある方はぜひ。
目次
マーチャーシュ教会
ブダの丘にそびえるマーチャーシュ教会の天井は、エキゾチックなデザイン。
アーチ状に交差した枠組みが、より天井の高さを感じさせる。
とにかく広い教会内でも、場所によって天井のデザインが違うのも印象的だった。
過去に内装がまるっとイスラム教のモスクに作り替えられたことがあったからか、イスラム世界のようなエキゾチックさが残っているように感じた。
ビザンツ文化、トルコ文化…?
聖書のストーリーが、壁と天井に描かれている。
背景の細部まで模様が書き込まれ、きらびやか。
教会にゆかりのある人物に関する展示もあちこちにあった。
豪華な装飾品、歴史を物語るもの…見ごたえがある。
オーストリアの宮廷での生活に辟易していた王女エリザーベトは、この教会を愛し、戴冠式も行っている。
まさに、ブダペストの歴史を物語る存在そのものといっても過言ではない。
内装のことばかり言ったけれど、もちろん外観や、教会の塔からの絶景もすばらしい。
ジョルナイという老舗陶磁器工房の瓦を使ったモザイク屋根が気に入った。色の組み合わせがツボ。
塔からの景色は、以前、旅行ウェブサイト「たびねす」でも紹介している。景色も気になるならぜひ。
美しきドナウの真珠を目指して!ブダペスト・マーチャーシュ教会の塔にのぼろう/たびねす
ドハーニ通りのシナゴーグ
ヨーロッパ最大規模のシナゴーグは、天井もぬかりない。
ランダムに幾何学模様がデザインされている。異なるデザインを組み合わせているのも興味深い。
ブラウンを基調にしていて、きらびやかさだけじゃない、重厚感のあるデザインに仕上がっている。
幾何学模様の天井が、広間の奥までずっと続く。
この壮大さに、ずっと身を預けていたいと思った。
ドーム型の天井の下では、祭壇がスポットライトを浴びている。
その美しさは、ブダペストで暮らしていたユダヤ人が体験した差別、虐殺…そういうものも色濃く反映されているのでは、と感じるほどに重たいものだった。
もっとこのシナゴーグの歴史や内装、外観が気になるなら。
カジンチィ通りのシナゴーグ
ブダペストのシナゴーグはひとつだけじゃない。
実はペスト7区という地区に、点在している。もう一つ、すばらしい天井を持つシナゴーグを紹介したい。
カジンチィ通りに面したシナゴーグは、通りすがりでは見落としてしまいそうな、街に溶け込んだ外観。
そのぶん、中とのギャップに驚き、すぐさま虜になった。
澄んだブルーの装飾が目の前に広がる。
よどみの全くないブルー。ここだけ別世界にあるように、街の喧騒を感じさせない。
このブルーに身をゆだねると、とたんに心が鎮まる。
日本では体験したことのない感覚だった。
天井ももちろん、ブルー。
よく見ると、天井の一部はステンドグラスになっている。
一枚一枚、花びらに細かく模様が入っている。
そこから入り込む光に包まれると、私がまるごと浄化されたような錯覚に陥る。
エントランス部分の天井は低かったけど、こちらもかわいかった。
このシナゴーグは、ユダヤ教徒の中でもオーソドックス(正統派)と呼ばれる会派のもの。
今でも、心を集わせる場所としてユダヤ教徒の生活に根付いている。
訪れたときは私以外誰もおらず、心ゆくまでこの神秘性に酔いしれた。
私は、シナゴーグが好きだ。イエス様や聖人たちの像や壁画と出会うことが少ないぶん、純粋に美しさに見惚れることができる。
聖イシュトヴァーン大聖堂
聖イシュトヴァーン大聖堂は、崇高さの漂う場所。
細部まで丁寧に金で装飾されており、洗練された雰囲気を醸し出している。
色とりどりのステンドグラス、あちこちにあるイコン(聖像)…
すぐさま、私を別次元へ誘う。
ブダペスト中心部で1,2を争う高さの建物だからか、ひときわ天井の高さを感じる。
見上げれば、ドームの内部には聖人や天使がひとつひとつ描きこまれているのがわかる。
ひとつひとつの衣装や表情に見入ってしまう。
ガラスからはやわらかな光が差し込む。
より、天使たちを崇高な存在にする。アールヌーヴォーなデザインもまたツボだった。
夜、ライトアップされた様子も素敵。
ハンガリー国立オペラ劇場
夕暮前、ふらっと訪れたハンガリー国立オペラ劇場。
観劇の予定がなくても、エントラス部分のきらびやかな空間は出入り自由。
エントランスに足を踏み入れた瞬間から、豪華絢爛さに頭がくらくらする。
見上げると、四角い枠の中ひとつひとつに、凛とした聖人の姿が描かれていた。
天使が無邪気にまどろむ。枠も金でデコレーションされ、贅を尽くされている。
19世紀に建てられた豪華絢爛なこの建物、こけら落としの際はフランツ・ヨーゼフ1世と皇妃エリザーベトも訪れたんだとか。
しかも王室メンバー特別席で。他にも王室メンバー専用の階段もあるらしく…ガイドツアーに参加すれば、見学可能。
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ハンガリーは、リスト・フェレンツやコダーイなど、著名な音楽家を生んだ国。その事実に恥じぬクオリティの劇場だったと思う。
オペラを観劇したり、見学ツアーに参加したりすれば、じっくり世界観に浸ることができるだろう。
マイ・マノー・ハーズ
規模や装飾のクオリティは、前述の5つほどのものではないかもしれない。
だが、一目見て「かわいいなあ」と気に入ったのでシェアしたい。
テラス席のあるレストラン、劇場が軒を連ねる通りで見つけた「マイ・マノー・ハーズ」という建物。
エントランス部分の天井画がかわいい。
詳細な部分はわかりづらいけれど、円形の枠の中で天使が戯れているのがわかる。
どこまでも自由で、見つめている私をほっこりとさせる。天井画の周りにも装飾がほどこされており、ぬかりない印象。
この天井画は、どの場面を描いたものなのだろうか。
「マイ・マノー・ハーズ」はもともと、オーストリア・ハンガリー帝国時代の宮廷写真家だったマイ・マノーという人物のスタジオ兼邸宅。
建てられたのが19世紀末ということもあってか、インテリアについて詳しく知る手立てはなかった。
修繕はされているが、この天井画や細かいインテリアに面影のようなものを感じることができた。
現在は3・4階部分に、写真の展覧会を行うミュージアムがある。
2階の一部屋は小さな書店、1階には深夜まで営業しているセンスのよいカフェが。
1階のエントランス部分は誰でも気兼ねなく見学できるが、建築やインテリアに興味があるなら、ミュージアムや書店、カフェもあわせて見学することをおすすめしたい。
もっと内装が見たくて、写真のミュージアムにも立ち寄った。
展示内容は定期的に変更される。訪れた時は、20世紀半ばのアメリカに迫る写真や、鏡を使ったセルフィ―に積極的に挑戦した女性写真家の展覧会が開催されていた。
レトロな内装よりも、しだいに写真作品に引き込まれる自分がいた。
シンプラ・ケルト
今度は趣向を変えて、現代的な場所を紹介したい。
「シンプラ・ケルト」というバーの天井は、混沌としているのに、おしゃれで見入ってしまう。
低い天井は無数の電飾で輝いている。
さまざまな色合いの光が入り乱れ、活気のある雰囲気を演出している。つぎはぎのようだけど、そこもまたおしゃれ。
「美しさ」とはまた違うかもしれないが、このアンダーグラウンドさがとても気に入った。
細かいインテリアや電飾はちゃんと計算されているからこそ「おしゃれ」だと感じる。
この場所で、グラスを傾けたくなる。
「シンプラ・ケルト」ができるまえは、ここは廃墟と化していた建物の一部だった。
アーティスティックなバーに生まれ変わったのはここ数年のこと。
同じエリアに、このようなバーは点在しているが「シンプラ・ケルト」が先駆け的な存在。地
元の人にも観光客にも人気で、いつもにぎわっている。
これからのブダペストを感じさせる場所のひとつ。
滞在時間は少なかったものの、私はさまざまなインスピレーションを受けた。
まとめ
ブダペスト滞在中に出会った、さまざまなタイプの天井を紹介してみました。
吸い込まれそうになるような装飾を尽くした天井から、現代アートらしさのある天井…
時々、自分もその世界と一体化したような感覚にも陥る。ブダペストはそんな天井を持つ建築が多かったように感じています。
今度の旅では、ちょっと天井に注目してみて。また違う表情を見せてくれるかもしれません。
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