お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です。
私のヨーロッパ旅には、さまざまな目的や意味を持たせています。
人を訪ねる、敬愛する画家の絵とふたりきりで過ごす、きらめきに触れる…
さまざまありますが。
ヨーロッパの国を旅するときは、自然と「素敵なブルー」を探しているような気がする。
心惹かれる青いものを求めて、計画的に行動することもあれば、本能的に導かれるようなことも。
これまでに、数えきれないほどの青と出会いました。
自分の心惹かれたものは、他の人にも共有したい。
今回は「青」と「ヨーロッパ」というくくりで、今までのヨーロッパ旅で目にした、心惹かれるブルーを紹介していきます。
目次
【オランダ】ハーグで出会った「真珠の耳飾りの少女」
思えば、私が「青」という色に執着するようになったきっかけは、アートだったかもしれない。
17世紀のオランダで活躍した画家、ヨハネス・フェルメールが手掛けた「真珠の耳飾りの少女」。私をヨーロッパへと連れ出した、とても大切な存在です。
実物を初めて見たのは、大学2年の夏休み。東京都美術館の特別展。
長蛇の列に並んだ先にいた、美しい彼女。
すぐさま、私の心をつかみました。
「真珠の耳飾りの少女」という作品名がポピュラーだからか、少女のまとうはかなげな美しさ、真珠のしとやかな輝きにフォーカスがあたることが多い。
でも、私がぐっときたのは、頭に巻いたターバンの青。
深みのある青に入り混じるきらめきから、目がはなせませんでした。
私の心を見透かされてしまいそうなよどみのなさ。
人混みの中でも、そこにだけスポットライトが当たっているかのようなまばゆさがありました。
「真珠の耳飾りの少女」は、中学時代からあこがれていた作品。
何年越しかの望みをこうやってかなえたわけですが、空前絶後のフェルメール・フィーバーによりお客さんが殺到していて、まるでアイドルの握手会みたいにすぐひっぺがされてしまったのです。
それがむなしくて、くやしくて、恋焦がれて。もっとフェルメール作品にのめりこんで、大学でも研究を続けて。
「真珠の耳飾りの少女」が待つ、オランダ・ハーグの「マウリッツハイス美術館」にぜったい行くんだ!と。
何が何でも!と念願かなえ、フェルメールが生まれたオランダで再会した「真珠の耳飾りの少女」。
展示室の中には10人くらいしか人がいなくて、しっかりと少女と対話できたように思います。
きらめきの混じるターバンの青、滴り落ちるほどのまばゆさをまとう真珠、私の心を映し出しそうな瞳、何かを言いかけたかのようなくすみのない唇…
すべてのパーツをじっくりと見て、改めて美しさに魅了されました。
日本でフェルメール作品を見ようと思うと大混雑だからね、現地で見ると感動もひとしお。
この感動がやみつきになってしまい、その後もひとりでイギリスへフェルメール作品に会いにいくひとり旅へ。
フェルメール作品を目にすると、まるで時がとまったかのような感覚に陥ります。
「真珠の耳飾りの少女」が私を連れ出してから、今ではヨーロッパの国々に魅せられ、フェルメール関係なくひとりでふらふらするようになりました。
10か国以上を旅した今でも「真珠の耳飾りの少女」の美しさは忘れることができないし、これからも導かれるようにして旅をしていくんだろうな、と思っています。
【ハンガリー】ブダペストで出会った「カジンチィ通りのシナゴーグ」
ハンガリーに行く前、ガイドブックをぺらぺらめくっていたら
「何これ…かわいい…」と一瞬で心をつかまれてしまった場所。
「カジンチィ通りのシナゴーグ」は、首都・ブダペストの中心部ながら、喧騒を感じさせないローカルな路地にあった。
見た目は他の古い集合住宅と一緒で、下調べしてないとスルーしてしまいそうなくらい存在感がなかった。
にもかかわらず、一歩足を踏み入れると…
ブルーにあふれる異世界が出迎えてくれました。
どこもかしこも青くて、現実のものとは思えないくらい、自分好みで尊い空間。
青を基調としたデザインに、エキゾチックな模様が無数に描かれている。
同じ青でも濃淡を使い分けて、統一感のある空間を作り上げている感じ。
このきらめきを、重厚感のあるシャンデリアが照らす。この青には、よどみがない。
第二次世界大戦のあと、しばらく廃墟と化していたみたいだけど、その面影は見当たらない。
外観が目立たない感じだからか、私が訪れたときには誰もいない。
シナゴーグといえば、同じブダペストにある「ドハーニ通りのシナゴーグ」にみんな集まるからかな。ヨーロッパ最大級のシナゴーグだし。
それに比べると規模は小さいけれど、物音のひとつもしない世界で、大好きな青に囲まれて過ごす贅沢を体験できる。この鎮まりに、ずっと身をゆだねたかった。
私にとってはかけがえのないもので、思い返すだけで、心がやすらぎます。
シナゴーグはユダヤ教徒の心のよりどころだけど、ちゃんと入場料を払って、マナーを守れば私のようなよそ者も大歓迎。
その心の広さに甘えて、私はつい入り浸ってしまいました。
【スロバキア】ブラチスラヴァで出会った「聖エリザベス教会」
「地球の歩き方 中欧編」をぺらぺらめくってたら(またガイドブックかよ)、
「青の教会」という文字に出くわした。
写真は載っていませんでしたが、それだけでブダペストからスロバキアへ日帰りで向かうことを決めました。
ネットで検索して画像を確かめることもなく(笑)
日曜の朝、バス停からゆっくり歩いて向かう。
閑静な住宅街エリアに足を踏み入れたと思ったら、現れた青。
こんな美しい教会がある日常って、どんな感じなんだろう。
徹底的に青でデザインされていて、少し冷ややかな雰囲気で。
1900年のはじめに建てられたといい、とくべつ長い歴史があるわけではないけれど…
どこか教会ぽくないような、今見てもハイカラで、かわいいデザインだと思う。
現代建築のモダンな雰囲気もあるよね。
重たい扉をそっと開けると、礼拝中の地元の人で満席状態。
とてもシャッターをばしばし切れるような雰囲気ではなく、私はひたすらその青に酔いしれることとしました。
中身もかわいい、青い世界。
椅子のデザインがとにかくツボでした。
【ウクライナ】キエフで出会った「聖アンドレイ教会」
ウクライナの首都・キエフで出会った「聖アンドレイ教会」。
澄んだ水色とドームの上品な青、この組み合わせがとっても気に入りました。
その美しさは、キエフの丘の上から下々の者を見下ろす「女王さま」。
大小のたまねぎ型のドーム。あの青は何と例えればよいのでしょうか。
私はこういう青が大好きです。気高さ、悠然さがあらわれているようで。
ジュエリーのようにちりばめられたゴールドもあいまってか、気品が漂う。
ぜったいに、手が届かない存在。
「聖アンドレイ教会」は18世紀中盤、時のロシア女帝エリザベートがキエフを訪れたのを記念して建てられたもの。
彼女が寵愛していた、イタリア人建築家が手掛けたものなんだとか。
ロシア的な美しさってこういうことなんだろうか。細かいところまで徹底的に、手をぬかず作りこまれたような美しさ。
まさに、高嶺の花。高級品(笑)
このレベルの美しい建築がごろごろ転がっているキエフは、あてもなくふらふらしているだけでもお腹いっぱい…!
2018年4月時点で、内部は修復中。長いこと修復に入ってるみたい。
装飾も美しいみたいで、見学できないのがショックすぎた。
見惚れる美しさ!ウクライナの首都・キエフで壮麗な教会建築をめぐる
【モルドバ】クセラウカ村で出会った「聖Cușelăuca(クセラウカ)教会」
モルドバでお世話になっていた、ビオレッタさん夫婦と娘のサビーナちゃんに連れてこられたのが「聖クセラウカ教会」。
美しい青はすぐに目に飛び込んできた。
聖クセラウカ教会は、アンジェリカという修道女が終のすみかにした場所。
彼女がここにいるようになってから、訪れた人に次々と奇跡が起こったそうです。
目の見えない人は目が見えるようになり、不治の病にかかった人は健康になり、といったように。
アンジェリカが亡くなったときも、彼女の遺体はいつまでも腐ることなく、美しいお花の香りがずっと漂っていたんだとか。
この伝説から「聖クセラウカ教会を訪れれば、奇跡が起こる」とこぞって人々が祈りを捧げるようになりました。
奇跡の伝説にふさわしい青だと思います。
清廉で、心がすっと浄化されるような青。
冷たい感じではなく、親しみのあるような青。不思議とこの青色からも、元気をもらえるかのよう。
小さい教会ながら、ここには見えないパワーがみなぎっているように感じました。
中に飾られていたアンジェリカの遺体の一部(もちろんガラスケースに入って、布で覆っています)に手を置くと、私の中にもアンジェリカのパワーが流れていくような感覚を味わいました。
これが伝説の力なのか、と手が震えました(気のせいかもしれない)。
教会の修道女たちが暮らす家も、かわいい水色。
私にとっても、特別な場所になりました。
【おまけ】ヨーロッパの乗り物は、青が多い。
ひとりでふらふらしていると、ヨーロッパは青い乗り物が多いんだなと気づかされます。
オランダの首都・アムステルダムのトラムは、白に青のラインがシンプルなデザイン。アムステルダムの風物詩です。
このコントラストが好き。
ハンガリーの首都・ブダペストの街を走る市バスは、澄んだ青一色。
青いバスがいっぱいでテンションが上がりました。公共交通機関が便利なブダペストではとても重宝します。
ウクライナの国旗は、黄色の線が青2本の線に挟まれたデザイン。
国鉄の車体も、国旗をモチーフにしたデザインでかわいかったです。
いっぱつでウクライナの電車だってわかりますね。レトロな青がいい感じ。
世界遺産の街・リヴィウでも、ときどき青いトラムが走っていました。
車体めっちゃ古いし走る音が大きい。ちょっとおもちゃみたいなデザインがツボです。
黄色もかわいかったけど、青もかわいい。
ヨーロッパをふらふらしてると、建物や風景だけでなく、日常のちょこっとしたところで青いものを見つけることがあります。
ふいうちのときめきにも、つい心がはずむ。
そんな体験の繰り返しが、たまらない。
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