お世話になります。Y氏とふたりでウラジオストクに行ってきたカジヤマシオリ(@Kindermer)です。
ウラジオストクの街には美術館はそんなに多くないけれど、
ウラジオストク駅すぐそばにあった国立沿海地方美術館は見ごたえのある美術館だったと思います。
展示はロシア美術(とくにウラジオストクのある沿海地方ゆかりの画家)が中心。豪華な調度品やいにしえの聖像と、ロシア王朝時代の肖像画や近~現代の作品を展示しています。さらにイレギュラーな特別展も2つやってました。
まずは地下1階のクロークで分厚いコートをあずけてから。
預けるのは無料です。スーツケース等大きくて重たい荷物も預けられます。コートと引き換えに番号札をもらい、返却時にはそれを提示。
展示室は2階。常設コレクションは250点ほどで、それらの中から選りすぐって展示をしています。部屋がいっぱい。
中にはモスクワの国立美術館から移管されたものも。
階段のところに女帝エカチェリーナ2世がいました。
ロシア王朝の女帝といえばですよ。パネルのとなりにはロシア国旗。
Y氏も女帝と腕を組んでニコニコ。
ロシア王朝時代を意識しているのか、内装も宮殿のようなというか邸宅のようなというか、美しかったです。
建物自体は古そうというか、石の階段だったし。
というのも、もともとは本店をモスクワにおいていたロシア・アジア銀行の支店がここにあったから。銀行の建物だったと考えれば納得。
さて、展示をみていきましょう…
エキゾチックで優美な作品ぞろい。シャガールやカンディンスキーも。
沿海地方の美術とあなどるなかれ。なかなか面白い作品がそろっていました。
まずは、いにしえのロシア美術。教会をきらびやかに飾っていたイコン(聖像)がずらり。
年月が経っていてもきらびやかです。大昔はこれらに奇蹟が起きる、と信じられていたんですよね。芸術として鑑賞してもすばらしい。
沿海地方の美術館にこういうのが飾られているのってなんだか新鮮だった。
この部屋は肖像画ばかりでした。ロシア王朝時代からの女帝や王様をはじめ、貴族の肖像画が、赤い壁にずらり。
子どもの肖像画もありました。もちろんエカチェリーナ2世の肖像画もでん!と飾られています。
彼女は愛人がたくさんいたようですが、愛人の肖像画もあったんだろうか…もっと見て帰ればよかった。
ロシア王朝時代の貴族の肖像画に囲まれて、そわそわするY氏
ここは近現代の絵画の部屋。ロシア王朝以降、とくにロシア革命後のものですね。
やはり絵のタッチも先ほどとは違うし、市井の人々や植物、日常風景が描かれていることも。
ロシア皇帝の肖像画を中心に、挟んでいたのはエキゾチックな女性のポートレート2枚。
右端の女性の肖像画は、美術館パンフレットにも描かれていた『ロシアの女性』(ニコライ・ハララーモフ作)。1888年の作品。
これがパンフレットです。
ターバンや服には金色の装飾。西ヨーロッパのきらびやかさよりもエキゾチックさ。
優美さというよりも、美しさの中に感じる力強さ。ロシアの厳しい寒さや自然の中にあるような美しさ。
美しい女性だけどちょっとたくましさ、感じません?(笑)
貴族の美しさとは違うんだよなあ。この美術館で気に入った作品のひとつです。
手前には彫刻も。ギリシャ彫刻のようでありながら、実は近代の作品でした。
作品の周りに囲いもなく、間近。隣で写真が撮れちゃうくらい(笑)
現代美術、素敵な作品が多い。
左はマルク・シャガール、右はヴァシーリー・カンディンスキーです。美術館の誇る看板作品といっても過言ではないはず。
シャガールのほうは青を基調に、ギターを弾く男性の姿。シャガールのお兄さんを描いたもので、どこか哀愁というか悲し気。
シャガールもカンディンスキーも、ナチス・ドイツに退廃芸術と認定された歴史を持つ画家。
このふたつの作品が並べて展示してあるのはなんだか胸にくるものがある。
風景画の部屋もありました!
サンクトペテルブルグ出身のヴァシーリー・ポレーノフやイヴァン・シシーキンなど、ロシアの生んだ有名な風景画家の作品を展示。
荒れ狂う大海原に、立派な船と小さな船…光の表現が秀逸な風景画。大きなグランドピアノとともに展示されていて、このセットがなんだか作品そのものみたいでした。
特別展・特別展示もあり
特別展というか、常設展の中に組み込まれる形で特別な展示も行われていました。
調度品を飾っていたコチラの部屋。
本来壁に何もかかってないと思うのですが、このときはウラジオストクで活躍する日本人バレエダンサーが、美術館の作品とともに収められた写真を展示していました。
日本人をモデルに、ってのが鑑賞してて嬉しくなりました。
美術館の絵画や彫刻のそばで舞う女性。モノクロだったりカラーだったりして。
ロマンチックな世界にうっとりしてしまいました。
2019年の4月~7月の特別展。
17世紀、フェルメールと同時期にオランダで描かれた植物画を彷ふつとさせるような作品ばかりが展示されていました。
展示は一部屋だけ。描かれた花と同じにおいがする装置の展示もあって面白かったです。
国立沿海地方美術館
住所:Ulitsa Aleutskaya, 12, Vladivostok, Primorsky Krai
開館時間:11:00~19:00(夏は10:00~18:00)
休館日:月曜日
入館料:
公式ホームページ(英語):http://primgallery.com/en/
建物にもあるとおり、開館時間は11:00~19:00。ガイドブックに注釈がなかったけど、10:00~18:00は夏のみです。
10分ほど開館時間の前に着いたのですが、チケットカウンターの前にあるイスで待たせてもらいました。
そのときにパンフレットも持って来てくれたけど中国語だった。
英語のは…?
と聞いてはじめて英語のやつ持って来てもらえました。日本語はないらしいです。
見学していたのは私たち以外に2組ほど。ゆったりマイペースに鑑賞しました。
なぜか、韓国からいらしてた学者さん?に「日本の方ですか?」と声をかけられた。私たちとくに会話してなかったんだけど、やっぱり日本人だってわかるのかしら。
日本ではロシア美術をまとめて鑑賞する機会ってなかなかないと思うからぜひ。
ゆったり見て1時間半くらいでしたが、1時間もあればじゅうぶん見て回れますよ。
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