お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です!
今日は、私が繰り返し見るくらい大好きな映画をひとつ紹介してみます。
必然的に、がんばりたくないなあって時に観ることが多いですね。
日本では劇場公開されていないのがもったいないと思う作品でもあります。
私のお気に入りのひとつ、
映画「ぼくとアールと彼女のさよなら」を見た感想をシェアさせてください。
目次
「ぼくとアールと彼女のさよなら」って?
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原題は「Me and Earl and the Dying Girl」というもの。
この映画との出会いは2年くらい前になるでしょうか。
オランダへ向かうフィンエアーの機内で一度見ました。
映画は、病気の少女をストーリーにすると、80パーセントくらい「お涙頂戴」な結末がやってくる。
だけど「ぼくとアールと彼女のさよなら」に関してはそうでなかった。たしかに悲しいけれど、最後まで見守るのはつらくも、苦しくもなかった。
主人公の選択を、どこまでも背中を押してやろう。そんな気持ちになりました。
フライト中の出会いですっかり気に入ったので、その半年後、イギリスへ向かうターキッシュエアラインズの機内でもう一度観ております。
「ぼくとアールと彼女のさよなら」の簡単なあらすじ
主人公のグレッグは、ほんとに等身大の高校生という印象。
学校では特定のグループに属さず、「当たり障りなく」ってのがモットーの少年です。私も学生時代はこのポジションにいたかった。
でも、周りはそれを許さないのが学校生活ってやつです。めんどくさいんだけど…(笑)
唯一付き合いがあるアールは、友達じゃなくて、趣味の映画作りにおいて「仕事仲間」って言ってるし。
グレッグの「当たり障りなく」を愛する精神にすんなり共感できたからか、彼のふわふわとした立場、ビジョンがすっと私の中で腑に落ちた感じ。
人付き合いに深く首をつっこまないはずのグレッグが、ひとりの女の子の「宿命」を知る。
たしか幼稚園は同じクラスで、ずっと同じ街で過ごしていた。
だけどちゃんとコミュニケーションをとったことはない。そんな彼女が白血病で、そう先は長くないらしい。
もちろん彼女が元気なわけない。そして同い年のグレッグなら彼女の話し相手になれるんじゃないかということで、グレッグママが彼に電話をさせます。
今までろくにかかわりがなかったのに、話し相手なんて私からしたら無理だと思うんだけど…
案の定、彼女は来てほしくないって言ってる。だけど、ママは行けよとうるさい。
ということで彼女の部屋を、グレッグが尋ねる。
最初は彼女も帰れと追い返すけど、そのまま帰るとママがうるさい。
いなくなる日が近い彼女と、こじらせっぱなしグレッグのやりとりが始まるのは、これから。
ヘラジカ系女子が仕向けた、彼女のための「映画作り」
ヘラジカ系女子(作中でご確認ください)が余計なことをするので(笑)病気で元気のない彼女のために、映画を作り始めたグレッグ。
やはり、彼女を感動させる系というか…「がんばって」「信じてる」という内容の映画になってしまう。
というかグレッグが彼女のために、人々のそういう声を集めて回るように。アールの力も借りつつ。
でもこの映画、彼女のためになるんだろうか?
病床にいる彼女に、生きる気力を与えることができるんだろうか?
こんなんじゃない、とグレッグとアールは方向転換。
一方の彼女は学校に行けないので、二人が今までに作った映画を見て過ごしています。
彼女はもう悲観に暮れることもなく、おだやかに、その時を受け入れる準備をしているように見えます。
げっそりとしているようにも見えるけれど…
この平穏こそが、彼女の望んでいたものだったのではないだろうか、と。
彼女の母はシングルマザーだから、自分が死んだあとのことを気にかけている。
もともと、自分の世界を持っている女の子だったけれど、ミステリアスさも増しているような。
病身なのに、弱弱しいのではなく、芯の強さがある。
作中で何度も「さよなら」を決意する場面があり、それもまた見どころ。
頭の回転が速く、大学進学のことで爆発しかけているグレッグに話しをする場面も。
その頭の回転の速さが、のちのちグレッグを救うのです。
彼女に迫る死は、悲しいだけのものなのか
たしかに、彼女には死が迫っています。
でも、悲しすぎるものではありません。これは単なる「泣ける」映画ではない。
多少の悲しみがあったとしてもそれは後味のいいもので。
ひきずることのない、あっさりめのエピソードがいくつも盛り込まれています。彼女の死が美化されていないのも好感度が高い。
「仕事仲間」のアールの存在もとにかく渋い。
でしゃばりではなく、グレッグと同じように物事を客観視できる人物なのがツボでした。
「ぼくとアールと彼女のさよなら」は、決して恋愛映画ではない
メインはグレッグと彼女だし、彼女はとてもかわいい。私としては友達になりたい。
この設定からいくと
「こじらせっぱなしの男子が恋したのは、病床にいる女子。彼女が最期を迎えるまで、プラトニックな愛で…」
登場人物の設定的にそうなってもおかしくないですよね?
だけど、二人は付き合ってません。
最初こそお互い「ナンヤネン」と思っていたけれど、彼女は病気になった姿を、グレッグは自分の映画や将来の不安をさらけ出すことで、よき友人として心をかよわせます。
「彼女の話し相手になることは偽善?自己満足?」とグレッグももやもやし続けます。
これを恋愛物語にしたら、彼女が病気であることの本質がはっきりしない、ちょっと残念な映画になっていたと思う。
大切な関係というのは、恋愛だけに存在するものではないのです。
この友情物語は熱血でも、絆のあるものでも、めちゃ重たいものでもありません。
グレッグと彼女の心の距離がちょうどよいからこそ、私は見やすいと感じたんだと思います。
こってりしすぎると気持ち悪くなる。このくらいあっさりしたほうがいい。
グレッグと彼女と、彼女に作った映画
DVDやブルーレイを購入すると、ボーナス映像として、グレッグが彼女に作った映画がフルで見れます。
作中では彼女の表情をクローズアップしつつ流れていたので、フルで見れてよかった。
映画の流れるシチュエーション、グレッグと彼女の関係、彼女の運命を知ると、もう、グレッグの映画は名作です…
数分なんだけど。
私としては、この特典映像も最後まで見てほしい。じゃないと「ぼくとアールと彼女のさよなら」は完結しない。
マット・ベネットがミステリアスに登場
映画のストーリーに直接は関係しませんが…
ドラマ「ビクトリアス」でアリアナ・グランデと共演した、マット・ベネットも出演してます!
たしかおととしくらいに日本に来日したんですよね?日本大好きで日本語勉強してると知って、好感度がぐっと上がりました。
「ビクトリアス」のキャラとは違った、ゴス系ファッションの超いかつめ男子を演じています。
やはり背が高くて細身だから、ちょっと影のある系ファッションが似合ってました。
彼にも注目してみてください。
「ぼくとアールと彼女のさよなら」が伝えたいこと
私、今までに10回以上見てるんですよ。もうそろそろDVDレンタルはやめて、ちゃんと購入しようと考えています。
そんなに見ているにもかかわらず!この映画の主題が、見えてこない。
とても好みな物語であることは確かです。「お涙頂戴」じゃないこともわかる。
なのに、この物語を一言で説明する言葉が出てこないなんて!
たぶん、彼女にはわからないことが多すぎるから。
最期にニクい演出を残したのに、本心も教えてくれないし、グレッグを見透かしたような態度。
たぶん彼女がミステリアスすぎるからだ( ^ω^)・・・
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いつか答えにありつけるのかな。
そのときってもしかして、私の最期だったりするんだろうか…
※2016年9月18日の旧ブログの記事を、2018年1月にリライトしたものです。
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