お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です。
大好きなオランダで訪れた美術館を振り返り。
今回は、デン・ハーグにある「エッシャー美術館」を紹介します!
目次
エッシャー作品の宝庫!2階エリア
エッシャー美術館という名前なだけあって、2階の展示はエッシャー作品がメイン。
どこまでもえんえんと繰り返されるような幾何学的なデザインが特徴です。ここで見た作品は、モノクロのものがほとんど。
DNA細胞みたいにねじった対象的な作品が、この緑の壁の部屋には多かったです。
ふたりの少年の肖像が、リボンをほどくようにしてばらばらに。
人を描いているのに、こうやってばらばらにしちゃって、中の空洞が見えてる。。。伏し目がちの表情がメランコリック。
背景が黒で、球体が浮かんでいるからか、どこか宇宙空間にいるような感じ。ふよふよ
有名なリトグラフ「House of Stairs(階段の家)」(1951年)。ひとつの空間に、何個もの階段が無限に続く。
遠近法を巧みにあやつった作品です。どこを中心に見ればいいのかわからなくて混乱してしまいました。
階段のうえをゆく、いもむしのような、恐竜のような生き物。これは「カールアップ(curl-up)」という生き物です。
エッシャーによる架空の生き物。
階段を降りたあとは、でんぐり返しをして右に消えていく。
犬や猫を上り下りさせるよりも、関節のなさそうな生物にしたほうがおもしろいもんねー。
私がとくに目をひかれたのはこちら。「物見の塔(en:Belvedere)」(1958年)です。
あまり奥行きは感じられない塔で、貴族風の衣装や道化師風の衣装を身にまとった人々が過ごす日常。
しかも、下段には囚人がいるし。長椅子にすわって、手に持った立体と図面を眺めている男性の姿が印象的でした。
これ、エッシャー自身…?
ベルヴェデーレ、といってもオーストリアのベルヴェデーレ宮殿をモデルにしたのではなく。
背景は、エッシャー自身も訪れたイタリアの山脈です。
こういうところに、エッシャーが旅行や移住で目にした光景が描かれていることも。
※英語やオランダ語の音声ガイドあり。1階でチケット購入時に、いっしょに問い合わせるのがおすすめです。
オランダ出身、マウリッツ・エッシャー
オランダの芸術といえば、まっさきに17世紀の作品を思い浮かべる私。
17世紀は、オランダ美術において黄金期とも呼ばれる時期。
フェルメールにレンブラント、フランス・ハルスにピーテル・デ・ホーホなど…
これらの作品は、同じデン・ハーグのマウリッツハイス美術館、アムステルダムの国立美術館にまとまった数が展示してあります。
実は近~現代も、オランダ出身の画家が活躍しています。
画家としてのキャリアをオランダでスタートさせたゴッホ、
三原色のコンポジションで有名なモンドリアン…
マウリッツ・エッシャーもそうです。その中でも、エッシャーは独自のポジションを確立しているといえますね。
エッシャーは1898年、オランダのレーワルデン生まれ。
もともと建築と装飾美術を学んでいましたが、恩師に見いだされて絵画の勉強へ。
1924年には旅先のイタリアで出会った女性と結婚し、2人の子どもをもうけローマに移り住みます。
その後スイスやベルギーへ移り、スペインを旅したことも。
彼がとことんこだわっていたのは、スペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿。そこで見たモザイク模様に感銘を受け、同じ模様を繰り返し描く作品に取り組むようになりました。
たしかに、ちょっとジグソーパズルぽいというか、幾何学的な絵柄が多い…
錯覚におちいったような気分になるものや、数学・工学っぽいものも。
「エッシャー美術館」の展示の中には、エッシャーが旅先で家族を撮った写真も。
移り住んだ先の風景は、だまし絵の中にしっかり描かれています。
エッシャーが実際に目にした風景と、作品を見比べるのが楽しかったです。
楽しい体験展示がいっぱい!3階エリア
さて、3階には、エッシャーの世界観を体験できる展示も。
エッシャー作品「メタモルフォーシスI」のコピーを円状につなげて、えんえんと繰り返されるような感覚に。
何回も円のまわりをぐるぐるしてしまいました。
また、イスラエル博物館所蔵「球面鏡の自画像」の大きなパネルの前に…
これまた大きな球体が吊り下げてありました。
これを手のひらに乗せれば「球面鏡の自画像」のような世界が出来上がるのです。
隣は、エッシャーの絵の中に入りこんだような感覚になれる展示でした。楽しかった…!
元王族の宮殿。きらびやかな内装
この建物、もともと美術館用に建てたものではありません。
かつては、王室が所有していた宮殿でした。
20世紀の初頭に、当時のエマ王女が冬を過ごした場所です。
それもあって、当時のインテリアがところどころに残っています。
王女の展示部屋は、サーモンピンクな壁がかわいい。
当時王女が使っていた調度品、肖像画やポートレートが飾ってありました。
天使がまどろむ天界の天井画、ゴージャスすぎませんか…
そこから現代的なデザインのシャンデリアが吊るされて、なんだかおしゃれ。
なんか、ぐるっと囲んだ階段がエッシャー作品みたいやね。
そう、地球儀やガイコツデザインのシャンデリアも!
とてもきらびやかで、目を奪われました。
なんと、美術館のためにオランダのアーティストが特別にデザインしたもの。
クラシカルな内装と、現代アートのようなおしゃれシャンデリア。
エッシャー作品もですが、私はこっちからも目が離せなかったです。
重厚な建物。一目で分かる外観
デン・ハーグ中央駅からは、徒歩10分ちょっと。
マウリッツハイス美術館やビネンホフからは、徒歩7分くらい。
ちいさな商店のならぶ通りや、かわいいおうちの並ぶ風景を楽しみながら向かいます。
縦長の窓、こげ茶色の壁の四角いおうちがずらっとならぶ通りにあります。すっごくオランダ
壁には「Esher」と赤い垂れ幕が下がっているので、すぐにわかりました。
私が訪れた2017年の3月は、美術館の目の前を大規模工事中。
この通りをまっすぐ行くと、中央駅方面へ戻ります。
遠くに見えるモニュメントが気になる。。。夏はテーブルと椅子が出てるらしい。
この風景、絵になりますね。ユトリロが描くような。
日本で「エッシャー展」開催中だけど?
現在、大阪で「ミラクル エッシャー展」開催中です。そのあと、愛媛や福岡にも巡回予定。
エッシャー作品、2019年の6月16日まで日本で楽しめるんです。
それもあって、エッシャー作品が注目を集めています。
となると、デン・ハーグのエッシャー美術館からたくさん作品来てるってこと?
それなら、今行っても作品は日本に貸し出し中じゃないの?と聞かれそうですが…
「ミラクル エッシャー展」に作品を貸し出しているのは、ほとんどがイスラエル博物館所蔵の作品。
そのうち152点を公開しています。だから、いまデン・ハーグ行ってもちゃんと作品あるよ!
こうやって記事書いてると、「ミラクル エッシャー展」めっちゃ行きたくなってきた。
イスラエル博物館も気になる存在に。死海文書。。。
エッシャー作品は、むずかしいことはわかんなくても、見てるだけでめっちゃ楽しい!
デン・ハーグを訪れた際にはぜひ。マウリッツハイス美術館からも近いし!
「エッシャー美術館」基本情報
住所:Lange Voorhout 74, 2514 EH Den Haag
時間:11時~17時
休み:月曜日
料金:大人10ユーロ
アクセス:デン・ハーグ中央駅から徒歩10分
美術館公式サイト(日本語あり):http://www.escherinhetpaleis.nl/
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