【保存版】フェルメール作品を徹底解説~マウリッツハイス美術館編~

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オランダ

お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です!

以前「アムステルダム国立美術館へ行くなら知っておきたい、フェルメール作品」の解説をしました。

作品の技法やモチーフひとつひとつに注目して解説しています。

好評だったので、次は同じオランダにあるマウリッツハイス美術館にあるフェルメール作品を解説したいと思います。

美術館の説明もちょこっとね。

オランダで「フェルメール作品を見て回る旅がしたい!」「オランダの美術の歴史が知りたい!」「美術館めぐりがしたい!」って人は必見です!



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マウリッツハイス美術館

オランダの政治・経済の要所、デン・ハーグにある「マウリッツハイス美術館」。

規模こそアムステルダム美術館に比べると小さいけれど、16~17世紀のオランダ絵画が一堂に集う、アートファンにはたまらない空間です。

キリストや聖書の内容を描いた宗教画よりも、日常風景を描き出した風俗画が展示のメイン。

そして内装もすばらしい。もともと貴族の邸宅だったそうで、きらびやかで中世風のデザイン。この空間ですばらしいフェルメール作品が見れるのはかけがえのない体験になりますよ!

ということで、フェルメール作品の解説にうつります。

 

真珠の耳飾りの少女(1665年ごろ)

「あ、この作品知ってる!」という人も多いのではないでしょうか。

もはや有名すぎるこの作品。

日本で展示されると決まってウン十分待ち。ですがマウリッツハイス美術館なら、待ち時間どころかほとんど混んでません。

少女が顔だけをこちらに向けているというシンプルな構図に、輝きやドラマ、美しさをエンドレスに詰め込んでいます。

彼女は青いターバンを頭にまき、耳には大きな真珠のイヤリング。耳元は光が当たっておらず、パールの輝きだけが浮かび上がっています。

なぜこんなに魅惑的で、美しいんだろうか…

 

際立つフェルメール・ブルー


この作品に使われている色は少ないです。

ターバンの青の美しさを評価する人はとても多い。背景は真っ黒で、イエロー系よりもブルーが目立ちます。

このブルーは「フェルメール・ブルー」と呼ばれることがあるくらいに特別なものです。ラピスラズリという、17世紀オランダでとても高価だった鉱石を使った絵具で描かれました。

この作品に限らず、フェルメール作品のところどころにラピスラズリの青が使われています。だけど「真珠の耳飾りの少女」のブルーは極めて美しい…

彼女の持つ魅力をさらに引き立てていることにかわりありません。

濡れた唇は、言葉を紡いでいるか?

美しさの理由はいろいろあるだろうけど、私としては、唇がとても気になる…

濡れてつやつやと輝く唇。全く不自然な感じはなく、この少女の魅力の一つだと思います。

私にはかすかな笑みを浮かべているというよりも、何かを話しかけているように思えるのです。それか、名前を呼ばれて「なあに?」と返事をして振り返る雰囲気。

彼女が何かを話しかけたのなら、それは何なのでしょうか…彼女の言葉の続きを聞くために、私はこの絵を見に行ってるのかもしれないです。

少女との対話が、もっと楽しくなる

真珠の耳飾りの少女」は、小説や映画のモチーフになるほどに魅力的な作品です。

小説「真珠の耳飾りの少女」は、フィクションながら、とてもリアリティのある話。

この小説では、真珠の耳飾りの少女のモデルになったのは、フェルメール家の使用人という設定です。

実際、モデルは明らかになっていないけれど、本当に想像を掻き立てられる作品なんです。

そして、この小説をもとにして作られた映画もあります。

真珠の耳飾りの少女のモデルを演じたのは、あのスカーレット・ヨハンソン!やはり唇が特徴的な女優さんだから、しっかり世界観をまとって演じていたように見えます。

作品の雰囲気をくずさない透明感で、クギヅケになってました。

フェルメール役はコリン・ファース。口数は少ないですが、よりフェルメールの謎な部分が引き立ってます。

「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞するなら、こういう作品からいろいろ想像するのも楽しいと思います。

フィクションだといわれればそうなんだけど、それでも思いをはせるのって楽しい。

 

デルフト眺望(1660年ごろ)

 

タイトル通り、この作品はデルフトの風景を描いたものです。

マウリッツハイス美術館のあるデン・ハーグから約10分のところにある、小さな街。フェルメールはそこで生まれ、亡くなりました。

大きな運河のほとりで談笑する人々。

その向かい側には、17世紀のデルフトの街並み…

このころのオランダならではの伝統的な建物を、繊細に、あたたかみを与えて描きあげた作品です。

ここに映し出された風景は美しいけれど、どこかやさしさを感じます。

実物は、もっと爽やかで澄み切っている

私の撮影した画像からだと、白いもやがかかったような感じに見えるかもしれません(撮影スキルのなさです、精進します…)

実物はもっと爽やかです。

実物と印刷物の違いがこんなにあるなんて、と驚きました。

青空も澄み切っていて、家々もはっきりと描かれている印象があります。だけど、美しいのには変わりありません。

その美しさは、実際に見に行かないとわからない。

それを確かめに来るだけでも、私は価値があると思っています。

「世界で最も美しい絵」

実はこの作品も、とある小説の中に登場しています。

作家マルセル・プルーストが、小説「失われた時を求めて」の中で「世界で最も美しい絵」と評しています。

特に、右奥の門と家の間から見える建物の黄色が美しいと称賛しました。

「小さな黄色い壁のように絵具をいくつも積み上げて、文章そのものを価値あるものにしなければいけなかったんだ」と主人公が反省しています。

その後、主人公は絵を見た展覧会場で心臓発作により亡くなるのです。もう未練はないということか…?

プルースト自身も、病身をおしてこの作品を見に行ったそうです。

 

「失われた時を求めて」もフィクションです。

ですが、小説を通して「デルフト眺望」の美しさに思いをはせるの、悪くないと思いますよ。

 

ダイアナとニンフたち(1654年ごろ)

私がこの作品を紹介するかどうか迷った理由。

それは、フェルメールの作品じゃないと評価する学者が多いからです。

フェルメールの作品には数点、そのような解釈がされているものがあります。ですがフェルメールに関連が深いであろうというのは変わりないので、紹介しますね。

オランダの服を身にまとった女性たち

中心の黄色いドレスの女性が女神ディアナで、足を洗っているのがニンフ。

ローマ神話が主題なのに、彼女たちが身にまとっているのは17世紀オランダの服。

決してドラマチックで非日常なシーンではないですが、雰囲気のやさしさ、あたたかさに目を奪われます。親しみやすさを感じるのも、この衣装だからかな?

フェルメールの作品かどうかに関係なく、私はこの作品が好きです。

表情がクローズアップされず、若干もやっとした雰囲気がありますが、そのはっきりとしない感じも好きなんです。はっきりとしないのに美しい…ずるいぞ。

 

17世紀オランダの絵画作品とあわせて…

フェルメール作品を堪能したら、ぜひ、同じ17世紀オランダで活躍した画家の作品も併せて見てほしい。

実はレンブラントの肖像画もあります。

フェルメールと同じデルフト出身のファブリティウスが描いた「五色ヒワ」も、鳥の毛流れが巧みに表現されていて美しい。

1枚1枚に観る価値がある。もちろんフェルメールは大好きだけど、ほかの作品もぜーんぶ好き!って言いたくなるくらい、私好みの美術館。

本当に尊い作品揃いでした。







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