お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です。
そういえば、ブダペスト滞在中は街のあちこちで銅像を見かけたな…
歴史的な人物はもちろんのこと、名もない人の銅像も。すでにフォトジェニックなスポットで有名な銅像もあれば、たまたま見つけた銅像も。
ブダペストを観光するまえに、ちょっと知っておくと面白いかも。
実際に出会えたら喜びもひとしおかも。
そんなブダペストの銅像たちを紹介します。
まずは、風光明媚なドナウ川沿いで見つけた銅像たちから。
目次
フォトジェニックスポットとしてすでに有名な「ドナウ川遊歩道の靴」
「ドナウ川遊歩道の靴」はドナウ川沿いの見どころのひとつ。
ドナウ川沿いに、靴の銅像がずらりと不規則に並びます。
大きな靴、小さな靴、革靴、ヒールの靴、飾りつきの靴。靴の種類も不規則でさまざまです。すぐそばにはドナウ川クルーズ船が停泊中。
日本語では死者の靴、と紹介するサイトもありました。
夜景と並び、ブダペストのフォトジェニックスポットの筆頭的存在です。私が立ち寄ったときも、観光客がひっきりなしに訪れてシャッターを切っていました。
私も、自分の足を添えてパシャリ。
なだらかなドナウ川と両岸の歴史ある街並み。そこに加わる無数の靴の銅像たち。
一見するとフォトジェニックスポットそのものですが、私にとっては心がきゅっとしめつけられる風景でもあります。
なぜなら、ナチス・ドイツの迫害・虐殺の被害者(おもにユダヤ人)を追悼するものだから。
ブダペストの街には、昔からユダヤ人がたくさん住んでいました。街の東側にユダヤ人の住んでいたアパートや、ヨーロッパ大陸最大級のシナゴーグ(ユダヤ教の教会、大聖堂にあたる場所)があるのもその名残です。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの侵攻にあったブダペストでも、ユダヤ人の迫害は例外なく行われました。
ゲットー(ユダヤ人用の閉鎖的な居住区)に強制的に住まわせたり、中にはこのドナウ川につきおとされ命を落とした人もいたりとか…だから死者の靴。
↑ヨーロッパ最大級、ドハーニ街のシナゴーグには私も行きました。人気観光地かつ宗教的な建物だからか、手荷物チェックが厳重だった。
そして建物の外側には、ナチス・ドイツの犠牲になったユダヤ人の慰霊碑もあった。
そういったブダペストのユダヤ人たちを追悼する目的の銅像でした。
その悲しい歴史を知らない観光客も多そうだな…
説明のプレート、やっぱりハンガリー語で読めなかった。
なぜ靴なのかというと、ドナウ川のほとりからユダヤ人を突き落とす前、靴をその場に脱ぐよう強制したから。
戦時中、靴は高級品だったのです。1足たりとも無駄にしないようにね。人種差別の恐ろしさを伝えるのが本来の役割なのです、この銅像。
ドナウ川を前にする、ハンガリー生まれの詩人「ヨージェフ・アティッラ像」
ブルーアワーの空とネオバロック様式で建てられた国会議事堂を背に、浮かない表情をした像。
こちらは、20世紀初頭のハンガリーでセンセーショナルな詩を残したヨージェフ・アティッラの銅像です。
がっくり肩を落とし、うつむいています。等身大の人間よりもだいぶ大きめサイズな銅像でした。
ヨージェフ・アティッラ、日本人にはあまりなじみのない人物ですが、ハンガリーでは有名な人物だそう。
大学在学中に発表した詩がなんともセンセーショナルすぎて大学を除籍処分にあったほど。
その後もハンガリー共産党の除籍処分、精神疾患など波乱の人生だったようで、最終的にバラトン湖近くで鉄道の線路に飛び込み自殺したそうな。
なるほど、銅像の表情は彼の人生を暗示しているのか。
当時の社会では、その詩に乗せた過激な思想は歓迎されなかったかもだけど、今でも名前が伝わってるくらいだから、当時の人々に衝撃を与えたのは確かでしょう。
銅像の横に、彼の手がけた詩の碑がありました。さすがにハンガリー語やし読めんかったけど。
詩を読まなくとも、哀愁漂うたたずまいはわかる。
こういう銅像ってなんだか中央ヨーロッパの景色に溶け込みやすいと思う。
元ハンガリー首相「アンドラーシ・ジュラ像」
ヨージェフ・アッティラ像の背後、国会議事堂にはアンドラーシ・ジュラ像があります。
台座の部分にも豪華な装飾がなされています。そっちの方に目がいってしまう。
観光客の撮影スポットにもなってました。
ブルーアワー、やっぱり素敵だ…
国会議事堂も銅像もより映える。元ハンガリー首相の偉大さがより際立つような。
彼はオーストリア=ハンガリー二重帝国時代の初代首相でした。
ちょうど日が沈みかけのときに撮ったら、なんか銅像の部分がシルエットみたいになってかっこいい。
あえて国会議事堂ではなくドナウ川沿いと西側のブダの丘をバックに。可愛らしい街並みがちょっぴり映ってます。
ハンガリーの英雄「ラーコーツィ・フェレンツ二世像」
国会議事堂を背に悠々とした姿の、ラーコーツィ・フェレンツ二世像。馬にまたがり勇ましい…馬にまたがるのが基本なのか?
17世紀から18世紀にかけて、反ハプスブルグ独立戦争を指導したハンガリーの大貴族。ワインの名産地トカイを始め、たくさん土地を持っていた家柄出身。
指導後はポーランドに亡命、ハンガリーを愛しながらも晩年はつつましい生活を送ったんだとか。
今も国民的英雄として称えられ、こうやって銅像がのこされています。
祖国を守るための蜂起へいざ!という様子。
なんといってもバックの国会議事堂の迫力ですよね。彼の姿も三割増し。
モデルのわからない銅像も
そういえばドナウ川沿いで、もうひとつ銅像を見かけました。
犬にお手をする女の子と、ぷいっと顔をそむける犬。ほんわかとした光景の銅像です。
名もなき少女と犬のなにげない日常ですね。
ドナウ川沿いはひときわ銅像の多いエリアなのでしょうか…?
街歩きが楽しくなる、ブダペストの銅像めぐり
もはやアートの域にとどまらず、観光スポットのひとつにもなっている銅像ばかり。
ブダペストの歴史を語るのに欠かせない人物も、ハンガリーの英雄的存在も、名もなき人々の銅像も、見つけるとなんか嬉しくなりました。
実はドナウ川沿い以外でもたくさん銅像を見かけたので、
次の機会にでも紹介しますね。お楽しみに!
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