お世話になります。ヨーロッパ女子ひとり旅専門家のカジヤマシオリ(@Kindermer)です。
「ヨーロッパひとり旅再開しますっ!近いうちに!!準備スタート!!」
と意気込んでいた先月末。
ついに再開が決定!
行き先はドイツ・ベルリンやその周辺の街になりました。
さて、行き先を決めるために、9月はいろんな本や旅行ガイドブックを読み漁りました。
参考になりそうなものはなんでも…
その中から、紹介するのはこちらの作品
「ベルリンうわの空」シリーズ!
3冊単行本が出ています。漫画です。
旅行、旅行ではなく実際に長期滞在している目線で、ベルリンの街や暮らしをつづった本です。
まだ行ったことのないドイツ、ベルリンってどんな街なんだろう。ガイドブックにある情報以外にも触れてみたい。
ということで手に取りました。
行き先を決める参考に買ったのに、これが意外とよかった。
3巻ぜんぶ購入してしまった。
目次
1巻「ベルリンうわの空」
まず、描かれているのは観光したきらきら楽しいベルリンではなく、長期滞在するストーリーです!
せっかくベルリンに住んでいるのに「あまり何もしていない!」というスタートです。
なんと。何のためにベルリンに住んでいるんだ?と思う人も多いのでは。
あまり何もしていない生活だけど、スーパーで買い物したり、お気に入りのカフェを見つけたり、電車を乗り過ごしたり…日本でも同じですね。
でも、ベルリンのほうが居心地が良さそうと思ってしまった私。
主人公の周囲にいるのは、個性豊かな登場人物たち。ベルリンは人種のるつぼ、ほんといろんな人がいるんですよね。
でも、長期滞在していると、交友関係は近いような価値観を持った人が集まるんだなあと思うシーンもしばしば。
みんな国籍もバックグラウンドも仕事も異なるので、全く同じではないけれど、お互いが居心地が良い関係になっているのうらやましい…
家賃の高騰や人種差別やホームレス問題など、あまりうれしくない事実も書かれていますが、それも暮らしの一部。いつものメンバーとの話題にも挙がります。
そうそう!となる部分もあればそういう考え方もあるのか~と。ベルリンはいろいろな人が暮らしているという事実を感じさせられます。
私自身がマイノリティである以上、いろんな人がいろいろな生活を送っていて、それでうまく回っている環境がいいなと思っているので(日本だと難しいけれど)、いいなあと素直に感じました。
2巻「ベルリンうわの空 ウンターグルンド」
2巻でも描かれるのは「何もしていない」ベルリンでの生活。
1巻で主人公が気になっていた独特なシールは、思わぬ展開へ。
「この街が、できるだけいい感じになるように。」と主人公は、地下空間を活用し、仲間内で無料のシャワーとランドリーがある「清潔ルーム」を運営することに。無理なく、必要としている人のためにっていうスタンスがいいなあと。
しかし、必要な人に知ってもらうってなかなか難しい。
運営スペースでは、いらないもの物々交換ボックスや掲示板なども置かれ、使う人との交流が増えていく様子もいい。いろんな人がいるけれど、みんながんばって日々を生きているんだなあ…しみじみ。
運営をするうえでわかったのは、仲間たちの想いやバックグラウンドにはじまり…
利用する人の失業やホームレス状態、そうならないようにするための政府なのに…というもどかしさ。日本でも、その根本的なところの対策まで費用も人も回っていませんね。
わたしも、人を廃棄物みたいに扱うことが、できるだけ少ない街がいい…と思います。
「清潔ルーム」のある地下空間にはほかにもお店や教室がちょこちょこ。トルコ食材店、興味あります。行ってみようかな…
3巻「ベルリンうわの空 ランゲシュランゲ」
3巻も、相変わらず「何もしていない」生活も、「清潔ルーム」の運営も続いています。
仲間との関係性や「清潔ルーム」運営の挑戦だけでなく、自分と向き合ったり行き当たりばったりと感じて弱り切ったり、内面で意外なことが起きています。大変だよなみんな…
外国暮らしでの体調不良(精神的な、なんだか動けない…という感じの、自律神経の乱れかな?)と向き合うシーンが印象的でした。
できるだけ簡単に!疲れたときはテイクアウトで!と外国暮らしでの料理に向き合ったり、無理がないよう勝手にやったりして、自分を養生するシーンも。これ大事ですよね。
私もいろいろあった末、今の暮らしはこの考えにわりと近いです。発達障害があるなら疲れた状態で料理したらアカンし(確実に事故)、体調の波があるのもしかたないからね。全部やりきろうとすると鬱になるわよ…
私が気になっていた語学学校でのストーリーもあります。ドイツの語学学校ってほんと、いろんな国の人がいるんですね…街で人種差別的な言葉を浴びせたり暴力ふるったりする人、みんな一度語学学校入ればいいのに。クラスメイトを全員差別してたらキリないぞ。
観光ではなく「暮らし」から見るベルリン
3巻ともドイツ・ベルリンの文化や雰囲気、日本との違いがわかるような本でした。
ヨーロッパ旅行といえばな派手さはないのですが、一歩一歩確実で、日々の暮らしを楽しんでいる。
もちろん旅行なのでいっぱい観光して、あちこち見て歩いて食べて楽しく過ごそうとは思っていますが、
10日間ちょっとの滞在中、4分の1くらいは何もしなかったり、気ままにブログ書いたり、お仕事進めたりして過ごそうと思っていたのでぴったりでした。
また、いろいろな人が暮らしているからこそですね…と思うシーンがいっぱいありました。見過ごされないよう、意思表示したりデモに参加したりっていうシーンも多いです。
マイノリティだからこそ注目してしまうシーンなのかな。日本じゃ発達障害者は周りに知られないように生きるケースがほとんど、いないように扱われることばかりなので…いろいろな考え方に触れられるって素敵なことだなあと。
必死でなくても、丁寧でなくても、自分にとっての心地よさ
この本で描かれているのはベルリンでのことですが、場所に限らず「こういうスタンスで暮らしていきたい…」と思う部分も結構ありました。
特に、将来の夢を書く欄で職業を書くのではなく、どんな気持ちでどんな生活を送っていきたいかをびっしり書きたい。私もそうすると思います。
今はライター業をやっていますが、ライターをしたいというよりも、自分の気持ちに正直に、心地よく、無理なく暮らしたい。その暮らしにヨーロッパをひとり旅することは必要不可欠でした。
事務職やアシスタントディレクターという明確な職業についていたときは、正直ここまで考えられなかったな…
その中で、ふと興味のあるものやお気に入りのカフェを見つけて、ちょっと生活が楽しくなる。無理やりじゃなく、日々の生活の中で。やる気が出ないときもあるけれど、それも生活の一部。しっかり休んでお仕事、無理せずにまたがんばれる。体調崩すよりもマシ!
コロナ禍で自分の仕事や生活について、一度立ち止まって考えた人も多いと思います。自分の身を削るんじゃなく「ベルリンうわの空」で描かれたようなスタンスで暮らしていってもいいんじゃないかな。主要な登場人物もそういうスタンスの人が多いので。
それが叶うベルリンってなかなか興味深い街。自分の手の届く範囲に心地よいものがそろっていて、たまーにその範囲をちょっと出て旅してみようって考えられるって素敵じゃない? 今の暮らしでは難しいなあ…と思いつつも、いつか手に入れたい。
一部エピソードは作者さんのnoteでも読めるようです
単行本では作者さんのエッセイもちょくちょく挟まっていて、ふとうわの空になって考えられる時間に。一コマ一コマがめっちゃ丁寧に描かれています。
どの登場人物もビジュアルがめっちゃ個性的。人間じゃなくて動物というか植物というかおばけというか機械というか…人間な見た目じゃないから「このキャラはこういう状況だったな」と記憶に残りやすいのか。
観光スポットやSNS映えではなく、ベルリンがどんな街なのか?知りたい方におすすめ。
読み終わったら、なんだかあったかい気持ちになりました。こういう漫画を読む心の余裕をいつでも持っておきたいものです。ますますドイツひとり旅が楽しみになってきました。
コメント